小原 猛/琉球奇譚 マブイグミの呪文

 沖縄の怪談作家、もう4冊目になるようだ。
 それほど怖い話はないけれど、沖縄らしい風土を感じさせてくれ、民話のような懐かしい印象の話も結構あったりして独特の味わい。
 たまには悪くない。

 「マブヤー落とし」ひどく吃驚したりすると魂を落としてしまうことがある、というのは驚き。気をつけなくては。しかも、その一部だけが切り離され、謎の校庭に集められて怪しい少女の遊び道具になっている。不思議な民話のようだ。

 「ウヤファーフジとブサーの対決」頑固なのはろくなことが無い。自分の先祖の伝説を一度も聞いたことはなかったのだろうか。確かに自分の先祖と戦え、と願われてもどうしたら良いか解らんだろう。

 「新しいレストラン」この「レストラン」は一体何者なのか。慰霊碑があるからといってそこにそんなモノが出現する理由が判らない。死後の寛ぎをそこで得ているのだろうか。
 そういったところでも造りが今風におしゃれになっている、というのも面白い。

 「松川奇譚」タクシー怪談の定番の一つに長距離のお客さんを乗せるとある家に着いたところでそのお客さんが消えてしまい、その家の呼び鈴を押すと‥‥というものがある。
 この話では初めてタクシーが止まってしまう家の側からの語りなのが興味深い。と思ったらそうでもなかった。そのタクシー自体がこの世のものでは無かった上、いきなり岩が現れて消えてしまう、という不条理な展開。結構好みだ。訳は判らんけど。

 感想を書きたくなるような強いインパクトのある話や奇想天外な話は多くはなかった。
 でも、沖縄の民宿や居酒屋で地元の方から聞くとは無しに聞き始めてしまった怪談、といった風情で怖さや不思議さだけではない語り物の面白さを感じさせてくれた。
 また沖縄に行きたくなる。

琉球奇譚 マブイグミの呪文(4)posted with ヨメレバ小原 猛 竹書房 2020年08月28日頃 楽天ブックスで見るAmazonで見るKindleで見るhontoで見る