こうも立て続けに怖くない本ばかりが続くと、何かちょっと虚しい気持ちにすらなってきてしまう。
また郷内怪談に頼らなくてはならないのだろうか、外れの無い。
前作とは真逆に、今回はかなり算命学の分析を前面に押し出している。
これが怪談にはあまり関係ない、どころか、占う相手自身以外にとってはほとんど意味のないものなので、筋を邪魔するものにしかなっていない。
更に、取材自体厳しい折柄、残念ながらあまり多くを得られなかったのか、怪異自体どうにも非力で新鮮さも無い。
全く惹き込まれるところも無いままに一冊を読み終えてしまった。
「気味の悪い子」唯一、多少印象に残った、と言える話。
いろいろなものが突然消えてしまい、後にあり得ない場所から見つかる。
以前類例を聞いたこともある気はするけれど、なかなかに珍奇な出来事ではある。
一体どんな力がどう作用することでこうなってしまうのか、何とか誰かに解明して欲しい。
これが元で母親と不仲になってしまう、というのも何だか物悲しい。
ただ、怪異としては怖くは無いし、些細なものでもある。不思議、ではあるけれど。
前世の話とか自分には龍が憑いていて、というような話も幾つもあった。
ただ、どれも何か客観的に裏付けるようなものや信じたくなるようなエピソードがあった、というわけでも無く、ほぼ語り手の独白によるもの。
これはもう怪談とは違う領域の話だと思う。
それが現実の怪談と密接に結びついている、というのであれば信じるかどうかはともかく、否定するものでは無いのだけれど。
やはり月5冊ペースでただ闇雲に量産を続ける竹書房のやり口が、明らかな質の低下をもたらしている、と考えざるを得ない。
こうなると、もうこれに付き合い続けるのは時間と、特に金の無駄、となってしまう。
あまりに打率の低い状況が改善されそうになかったら、期待できる作家以外はもう思い切って購入しない、という道も考えねばならないかもしれない。
思いがけず掘り出し物が、ということもあるから、出来るだけそうしたくはないのだけれど。
怪談天中殺 占い師の怖い話posted with ヨメレバ幽木 武彦 竹書房 2021年04月28日頃 楽天ブックスで見る楽天koboで見るAmazonで見るKindleで見るhontoで見る