運命の京都旅行 序章

 もう数え切れない京都旅、そのいつも通りの一回、そうなる筈だったのに。

 毎年春秋に毎年行われている「非公開文化財特別公開」。
 まだ観ていないところも多かった頃、これをメインの目的として京都に旅することが多く、それ以外も含めれば年2~3回は行っている年が多かった。

 2001年11月にも大徳寺やその塔頭などの公開に合わせて京都へ出掛けていった。
 一人旅である。
この旅は京都中に点在する公開自社を繋ぎながらその他の場所にも出来る限り訪れる、相当にハードな行程になることが多いからだ。
 この時も勿論そうなっていた。
 多数の寺社に加え、京都国立博物館に大阪の二つの美術館までルートに入れ込んでいた。
 ほとんどの場合関西には飛行機で行くため、伊丹空港から一旦天王寺までリムジンバスで行き、そこで大阪市立美術館を拝観。さらに京橋へ移動し、当時所蔵する全ての国宝・重要文化財を四期に分けて展示する、という大盤振る舞い企画の第二回を行っていた藤田美術館にも立ち寄ってから、その後京阪電車で京都に向かったわけだ。

 京都では先の特別公開に加え市東北部の今出川周辺で「第1回 京都・今出川特別寺宝展」というのも開催されていて、観るべきところが山盛りだったのだ。

 まずは知恩院の三門・経蔵が公開されていたので拝観し、さらに北に移動して清浄華院を観た後、近くの北村美術館にも寄った。

 そこでようやくかなり遅い昼食に。

 立ち寄ったのは北村美術館から大通りへ出て直ぐの交差点にあったマクドナルド。
 今はもう無くなってしまったようだ。
 何を食べたかなどは勿論全く記憶に無いけれど、いずれかのバーガーセットを食べたのは間違いない。

 食事後、そのまま鴨川を渡り今出川通りを東進、百万遍にある知恩寺に向かった。
 ここがまずは非公開文化財特別公開の第一目的地。普段は直参拝するだけしか出来ないところ、堂内に上がれるだけでなく、そこや宝物館も開けてくれて、重要文化財を含む仏画などのお宝を惜しみなく御開帳してくれていたのだ。
 しかし、この特別公開、拝観時間が通常より短く16時まで。
 確かこの時点で既に15時は軽く過ぎていた。15時半を過ぎていたかもしれない。
 まあこれまでの行動を振り返れば当然だろう。むしろよくここまで到達した、とも言える。

 なので、この移動についてはほぼ走って、ということになった。
 11月なのに知恩寺に着いた時点では汗だくで、ハンカチで頻りに汗を拭いていたことは何故かよく覚えている。