短い間奏

 もう日時ははっきりと覚えていないけれど、2002年5月頃、仕事が相当にハードだった。
 やや大きな競合のプレゼンテーションに臨み、連日企画書作りや会議が続いた。
 営業が熱血な分手間の掛かるタイプだったこともあり、ハードが一層増していたのは否めない。

 プレ直前には休日出勤せざるを得ない状況だった。
 社会人になった頃から、休日に仕事をせねばならない、というのは最も忌み嫌っていたことであった。新人で見習いだった頃を除き、滅多にそういうことにはならないように回避してきた。

 なので、止むを得ないと承知しつつも、このことに相当なストレスを感じたのは間違いない。

 そのせいだろうか、会社について間もなく、打ち合わせをしよう、とする段で体が痒くなってきて、じんましんも現れ出した。

 しかし、ぽつぽつと出たじんましんが大きく拡がることはなく、じきに治まってしまった。
 理由は判らない。
 その日何を食べたかなど記憶している筈もないのでまるで不明ながら、食べた小麦の量が少なかったのかもしれない。
 その日は単に会社に出社しただけなので、運動量はそれ程なかったとも思われる(これも詳細不明だけれど)。

 ともあれ、ほとんど何ともなかったため、前回以上に何も気にすることはなく、まあ、今回も疲れているのだろう、位に思ってそのままやり過ごしてしまった。

 ここでもう少し悪化してたなら、もっと原因について考えたりしたのだろうか。
 今となってはもう当時の気持ちも覚えてはいない。

 それに、既に発症はしてしまっているのだし、いずれにせよ現状は同じこと。

 むしろ、アナフィラキシーの症状は繰り返す程に悪化する、と言われてはいるけれど、実際にはそんなに単純ではない、ということを明かしてくれている。

 そして、こうして何も考えず何も用心することもなく過ごし続け、6月8日を迎えることになる。