どうなるとアレルギーが発症するのか、それについてはまだ研究も途上にあるようで明確ではない部分も多い。
よく巷間では「食べ過ぎると良くない」とか「桶に水をためるように徐々に溜まっていって、それがリミットを超えたら発症する」などと言われてはいるけれど、どれも特に医学的な根拠がある話ではないらしい。
もしそれがある程度正しいのだとすれば、早晩どこかでやられずにはいられなかったのだろうけれど、これも何も根拠の無い話ながら個人的に引き金を引く要因となってしまったのでは、と感じているエピソードがある。
いずれきっちりと書くつもりだけれど、最初にアナフィラキシーの症状が出たのは倒れることになる白金高輪事件よりも約半年前、2001年の秋、京都でのことだった。
それまでは蕁麻疹など出たこともなく、突然の発症であった。
それを遡ること一年弱。
2001年正月の初詣が今回の舞台だ。
ところは府中にある大國魂神社。
府中と言う位で国府が置かれた場所でもあり、古代より栄えていた地域の神社として由緒と格式を守り続けている。
そんな神社には宝物類も数々残されており、中でも狛犬一対は鎌倉時代の作で重要文化財に指定されている。
他にも鏡や刀剣など所蔵する品は多い。
それらは境内にある宝物殿に収められており、土日祝日と祭礼の日には公開されている。
お正月時期も祭礼の一つとして開いている、という情報があったので、毎年の初詣ツアーをこの年はここに定めたのである。
ここは、普段は静かな神社なのだろう、賽銭箱も大きくなく、鈴も少ないタイプであった。
そのため、初詣の参拝客は大行列、一時間以上は待たされることになってしまった。
初詣客と行列の関係については以前書いたことがある。
要は、どれだけの人数が一度に参拝できるかによって処理能力が決まってくる、ということだ。
祀られているのが明らかに神ではないので全く参拝する気になれない明治神宮など、テレビで見る限り相当に能力は高そうだ。
果たして行列がどの位の速さで進んでいくのか、それだけは確かめてみたい気にはなる。
無事お参りを済ませた後、宝物殿にて狛犬なども拝観、この日の訪問目的を十二分に果たしてほっとしながら、境内の露店を散策してみた。
すると、その中に世の中の数多ある食べ物の中でも随一にして絶対的な大好物、ベビーカステラを発見し堪らず購入した。
早速口に入れてたまげた。
中心部が生なのだ。
あまり経験のない業者だったのか、人気で売れ過ぎてしまって焦っていたのか。
いずれにせよとんでもない代物ではあった。
しかし、既に店からは離れてしまっていたので交換してもらうことも出来ず、かと言ってこの世の楽しみをそのまま放棄する気にも全くならず、止むを得ずそのまま食べてしまった。
まあ、勿論美味いものではなかったのだけれど、残さず平らげた。
それでお腹を下すこともなく、えらいものを掴まされてしまった、という笑い話としてその場は収まっている。
しかし。
全く医学的な根拠があるわけではないのだけれど、生の小麦粉を結構大量に摂取してしまったこと。
これが自分の体の免疫機構に決定的なエラーを与え発症するための準備が出来上がってしまったのではないか、そんな疑いをどうしても拭い去ることができない。
これもいずれまた触れたいところだけれど、わたしのようなアナフィラキシー発生のメカニズムとして、未消化のタンパクが血中に入ること、というのがあるそうなので、強ち単なる思い込みではないのでは、とも考えている。
生の小麦粉、どう見ても消化に良くなさそうだし。
ともあれ、この時は何一つ不調になることもなく、当然ながら変わらぬ日常、小麦粉を食べまくる日々を過ごしていたのであった。