江戸屋の歯ブラシ 再び

 以前にも一度書いた江戸屋の歯ブラシ。
 昨秋、そろそろ交換時期ということで気にしていたところ、丁度日本橋を訪れる機会が訪れた。

 これまでこの歯ブラシは毎回日本橋案内所の方で購入していた。
 便利ではあるのだけれど、あまり数も置いていないので、前回購入時など一番気に入っている緑が無くやむなく青にせざるを得なかったりした。

 もうそこで買うもの、と決めてかかっていたので、最初はまた日本橋案内所に向かうつもりだったのだけれど、ふと思い返してみれば本来の店舗も同じ日本橋にあるわけだし、確か登録文化財の風情ある建物だったことも突然思い出した。

 で、三井記念美術館で「高麗茶碗」の展示を観た後、近くのドトールでしばし休憩してから店に向かった。
 昭和通りを越え東にもう少し進んでいくとじきに到着する。

 着いてみると正面のガラス戸にはカーテンが半ば掛かっていた。
 あれ、もう終わりか、と思ったけれど、、中心部はカーテンが開いていて中に人も何人か見えたので思い切って扉を開けてみた。
 まだ入れるか聞いてみると大丈夫との回答。
 そこで喜んで見せてもらう。後で調べると会社だからか営業時間は17時までだったようだ。
 本来の閉店よりも30分以上過ぎてしまっていたわけで、知らずとは言え何とも申し訳なかった。対応していただけただけでも有難い話だ。

 応対していただいたのは比較的年配の男性で、品格からみて社長さんだったのでは。
 とても温かく御説明して下さった。

 状況が状況なのでぐっと絞って目的の歯ブラシだけを探す。
 すると、やはりここでは全色あって選び放題。
 じゃあ緑にしようかな、と決めかかったところでちょっと周辺にも目を向けてみると、すぐ横に見慣れない色の歯ブラシが。
 ブラシがいつもの茶色では無く、白い。何だか普通に売っているナイロン製のように見えた。
 でも勿論そんなわけは無い。
 訊いてみるとやはり天然物。豚毛だという。
 馬毛より太く硬い豚毛の特性を活かして、「かため」として販売していたのだ。

 元々歯ブラシは固めの方がしっかり磨ける気がして好きだった。
 しかも、このタイプはここでしか扱っていないという。確かに日本橋案内所では見たことが無かった。
 ブラシがかなり固いので磨き方によっては歯ぐきを痛めてしまう恐れがある。なのできちんと説明できるここだけで販売し、納得した人にのみ買ってもらえれば、ということだった。

 これも縁だしチャンスという気もしたので、思い切ってこちらを買ってみた。
 値段は馬毛と変わらず税抜500円。
 やり取りも要を得ており、とても気持ちの良い買い物であった。老舗侮り難し。

 年明けを待って歯ブラシ交換。
 一年使った馬毛ブラシは今年もかなりちびてしまっていた。それでもさほど磨き心地が変わらないのも素晴らしいところ。

 新ブラシで磨いてみて驚いた。
 汚れがあっという間にさっと落ちてしまう。それもほとんど力を入れずにだ。

 これまでは力をつい入れすぎてしまうためにナイロン製だとすぐにブラシが開いて使い物にならなくなってしまっていたし、歯ぐきにも傷が付きよく出血してしまっていた。
 それがここの馬毛ブラシにしてまず出血も無くなり、毛も全く開かなくなった。
 ただ、元々歯並びがかなり良くないため、場所によっては歯垢が若干落ち難い場所などもあった。

 それに対しこの豚毛ブラシは、軽くさっと磨くだけで汚れ残しなく綺麗になってしまう。
 これまでに経験したことのないすっきり具合だ。
 気持ち良くてつい舌で触って確かめてしまう程。

 これなら歯や歯ぐきへの負担も軽くて済みそうだ。

 後は使っていった時どう変化していくかだけれど、ここの商品ならそう心配はあるまい。

 今のところは今後もずっと是非これを使い続けたいと思っている。
 わざわざ本店まで出向いた甲斐のある御縁が出来、本当に良かった。

元投稿:2020年3月頃

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です