このところ竹書房が何故か力を入れている地方限定もの。
この本は著者が広島出身、岡山在住の学生、だそうだ。
そのため、取材した怪談もあるものの、大半は著者自身が訪れた心霊スポットの話。
正直、どこでも大したことも起きないので、怪談としては何とも薄い内容が続く。
印象に残る話も僅かであった。
「一家失踪事件・京丸ダム」これは怪談、というよりも不可解事件と言うべきもの。
著者が加えている話は、記述の仕方からすると直接取材したものでは無く、巷間に流れているいわゆる「怪談話」の類であって、信を置くべきものでは無かろう。
事件そのものには怪異など全く存在してはいない。
全員が車で死んでいた、という事実もあるし。
ただ、残されていた家の状況はどうにもおかしなものであることは間違いない。
自殺の原因などは外部からは量れないものだし存在しない、と決めつけることなど出来はしない。
それでも、奇妙さは際立っている。
何とも気になってしまうのは確か。こういう話、結構好みではある。
「御札の家」ここでは次々と奇妙な出来事が起こっており、面白い話ではある。
ただ、冷静に考えれば、妹の件、というのは相談者の女性の妄想に過ぎない。だとすると、そこで語られた内容も、御札の家で見たであろう、とものも信用は出来ない。
彼女の心の問題、と捉えられるからだ。
そして、著者が見た、という家族の棺。
まるで山の牧場を思い出させるような不気味さはある。
しかし、何十年も前から放置されながら未だに蒲団が凹んだまま、というのも妙だ。
それが怪異の証、という可能性もゼロではないけれど、むしろ最近運び込まれたもの、と考える方が自然だろう。誰かが撮影などするために持ち込んだ、とも考え得る。
こちらも楽しめたからそれで良い、とも言えるけれど、実話怪談、という定義から考えると、評価できる内容ではない。
全体に内容や文章のトーンは、推敲されず編集もされていないブログレベル、といった感じ。
読んでいて、何だか興醒めしてしまうところも多々ある。
冒頭、あえて地方限定ものでることを特記したのは、その類の本には、どうもこうした微妙な出来のものが多くなってしまっているため。
無理して出版数を増やすのではなく、もっと吟味してちゃんとしたものに絞って欲しいものだ。
直近読んだ本(北九州怪談行)で、また同じようなことを書かねばならないのが何とも残念。
lign:left;padding-bottom:20px;font-size:small;zoom: 1;overflow: hidden;”>
広島岡山の怖い話posted with ヨメレバ岡 利昌 竹書房 2021年05月28日頃 楽天ブックスで見る楽天koboで見るAmazonで見るKindleで見る7netで見るhontoで見る