一度ほぼ書き上げたものを保存し忘れて消去。
別に障りではないだろうけれど、実にテンションが下がる。
バックアップも見つからずどうしようもないので、再度記す。少し評価が厳しくなってしまうかもしれない。
比較的目新しい作品も多く前半は楽しめた。
しかし、百物語のためか、後半やたら弱い話が多くなってしまい、ほとんど怪談とは言えないようなものまで。無理にこうした枠に囚われない方が良かったのでは。
「枝垂れ桜」ビールの缶が全て潰れる、というのはかなり強烈な物理的現象だ。宴会ということなので、多数の人間が目撃している、というのも貴重。
出来ればその時の写真でもあれば是非見たいところだ。
「走り高跳び」昔の生徒が現れる、という怪談は定番とも言える。しかし、ここではそいつがどことも知れぬ全く関係の無い学校、というところでいきなり枠を外され一気に新鮮な話へと変貌。
一体どこから何故ここに来てしまったのだろうか。
「カラス族」では、体験者が救急隊員しかも救急搬送の現場、というおよそ嘘や冗談では語れない状況での出来事だけに興味深い。しかもそういった場合であれば、当然複数の人間が遭遇してしまったのであろうし。
「サル山」動物霊の話も時折はあるものの、猿、というのはあまり聞かない。まるで人間と同じような思いの残った行動に出る、というのはやはり猿だからなのだろう。猿ならば不思議ではない、という気もする。
「地下室」も利用されず因縁もない防空壕に出入りするモノたちの話。
何とも不条理な話だ。あるいは壕を掘ることで異界への道を通じさせてしまったりしたのかも知れない。
「放置された車」撤去しようとすると祟りがある放置自動車、というのもなかなか強烈な物件だ。出来ればその祟りの内容、というのも知りたいところではある。
それが突然霊的な者の目撃~車の炎上へと急展開してしまう。
何か彼らなりに意味のあるタイミングだったかも知れないけれど、関係者側からすると訳が判らないだろう。しかもそれで祟りも消滅。一体どういうことなのか、その因果が知りたくなるのは当然。
「よろしくたのむ」死者が家族に対してメッセージを送ってくる、というのも珍しい話ではない。しかし、聞かされた当人の知らない第三者も関わる、しかも具体的な数字まで入ったもの、というのは珍しい。客観的に検証できてしまうので。貴重な事例であろう。
「ボワーチョークの怪」冒頭のミステリー・サークルについてはこの本でも書かれているように犯人が名乗り出てしまっているし、その制作の容易さもTVなどで何回も検証済みである。もはやミステリーではないので、こういったところでは取り上げるものでは無かろう。
それはともかく、本編における最新映像施設のような全方位ビジュアル体験、というのは凄い。自分も是非体験してみたいところだ。
「廃病院」骨折はそれ自体あまり痛いものでは無い。骨には痛覚器官が(おそらくは)あまり(もしくは全く)無いので。骨折に際して痛くなるのは、同時に筋肉組織にもダメージを受けるのが普通だし、折れた骨がずれてしまったらその分体内を傷つけることになるので、それも痛みの原因になる。なので、何か強力な力が加わるなどして骨だけが綺麗に折れてしまった場合にはまるで痛みを感じない、というケースが有り得るのだ。勿論動かせば強烈に痛いことが多いけれど。これは実際に経験があるので間違いない。
まあ、とは言え寝ている間に痛まぬよう上手に複雑骨折する、というのも至難の業ではある。
むしろ心霊スポットの祟りが時間差で現れ、しかもなかなかにひどい物理的な障りを発生させた貴重な事件として特筆すべきであろう。
この本には海外の体験談も多数収められている。しかも比較的珍しい北欧などヨーロッパを中心に世界各地から。
ただ、これまではかなり日本とは毛色の違う内容のものが多く、それを紹介したくて、という風もあったのだけれど、ここでは国内の事例と似たようなタイプの話も多く、それが逆に面白い。
元投稿:2019年12月頃
奇譚百物語 獄門posted with ヨメレバ丸山 政也 竹書房 2019年10月28日頃 楽天ブックスで見る楽天koboで見るAmazonで見るKindleで見るhontoで見る