第5回すみだストリートジャズフェスティバル


もうずいぶん以前のイベントなので、備忘録程度に記しておく。

 

まだ夏真っ盛りの2014年8月16日、錦糸町界隈で行なわれていた「第5回すみだストリートジャズフェスティバル」を観に行ってみた。

初めての参加である、と言うかこれまでそうしたイベントがあることすら知らなかった。何かのフリーペーパーにちら、と書いてあったことがきっかけ、だったような気がする。

 

錦糸町駅周辺の街中、30か所余りでジャズをテーマにさまざまなバンドが音楽を奏でている。

食べ歩きイベントなどと違い、駅近くに集中しているので、廻るのも結構楽。ただ、北口と南口を渡れる場所が限られている、というところはちょっと難点だけれど。

勿論特に入場料などを取られるわけでは無く、パンフレットもしっかりしたものをいただけるので、廻るのに不安は無い。

ただ、どこも大体一時間位毎にバンドが入れ替わり、その間2~30分程度は演奏がないので、演奏中にいくつかを廻ろう、というのは意外と難しい。

 

特に目当てがある、というわけでも無かったので適当にいくつかの会場などをふらつき、夕方にはメイン会場である錦糸公園に向かった。

この日はあいにく天候も優れず、一時は結構大雨の時もあったけれど、錦糸公園に着いた頃にはあがろうとしていた。

 

その時点で演奏していたのは、村上”ポンタ”秀一etc.のセッション。

名前はよく聞いていたけれど、お姿を拝見するのはこれが初めてだった。

他のメンバー含め、流石に上手い。当然とは言いながら、それまで聴いていたアマチュアやその他のミュージシャンとは、明らかに格が違った。

会場内は一杯そうだったので周辺で観ていると、ステージの上に虹が!

偶然とは言え、何たる素晴らしさ。

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会場外より望遠にて撮影

 

その次のステージにはあの渡辺香津美が登場する、という。

YMOのヨーロッパツアーなどにも参加していた、一方的に馴染み深いギタリスト。

それ以外の演奏は全く聴いたことは無かったものの、ある程度期待は出来る。

前の演奏が終わると、そろそろ夜になろう、という時間のせいもあってか結構な人が出ていってしまったので、ステージ正面結構近くに陣取ることが出来た。勿論立見だけれど。

間は50分あったし、それまでもほとんど休憩無しに歩き回っていたばかりだったので、ちょいと疲れてはいたけれどじっと耐える。

 

ようやく登場してきた、そのベーシストを見て驚愕した。

鮮やかな黄色のジャケットに緑のスカート!、そしてスニーカーもその2色。

しかもじいさん。

後で確認したら既に81歳とか。

 

格好で驚かしてくれただけでは無く、演奏を開始した、その第一音でぶっ飛んだ。

もう心を鷲掴みにされ引き摺り回されるような、激しくパワフルなベース、こんなものはこれまで聞いたことが無かった。

何せ、ベースなのに明らかにセッションをリードしている、と言うかここでも引っ張り回している。

この時点ではじいさんだな、としか判らなかったけれど、息子と言っても良い他の二人の演奏者をねじ伏せるように支配していた。

そのベーシストは鈴木勲。

ジャズには全く詳しくないため初めて聞く名であったけれど、凄い人だ。

 

ギターの渡辺香津美も、想像を遙かに超えて素晴らしかった。

実に甘い美音で、しかもかなり難しそうなパッセージも楽々弾きこなしてしまう。

鈴木勲とは大分傾向の違うスタイルながら、そこがセッションの面白さ、かえってスリリングで面白さを増している。

 

それはこれまた違うタイプのドラムス、本田珠也もそうだった。彼はかなり切れの良い感じ、だったような気がする。二人が強烈だったので、もう記憶が薄れてしまっているけれど。

彼はかなり若く見えていたけれど、資料によると1969年生まれ、もう結構な年だった。

どうやらナベサダの甥っ子らしい。この戦いで互角の勝負が出来ていた、ということはきちんと実力のあるミュージシャンなのだろう。

 

途中、ベースの弦が切れる、というおよそあり得ないようなトラブルが発生。

鈴木勲がしばらく修理のため演奏に参加できないと、おそらくは即興で渡辺香津美が演奏を始めドラムスとの一対一のセッションへ。

曲は渡辺香津美のものなのだろう。

これはこれで彼のギターを心ゆくまで堪能出来、至福の時間ではあった。あまりに美しく滑らかな演奏なので、いつまでも聴き続けていきたい、と真剣に思う程だった。

 

復活してからも一段とパワフルな演奏を繰り広げてくれた。

本来の時間は一時間。しかしトラブルも有ったせいか、それよりも長くやってくれたようだ。

しかも、演奏後も余程御満悦だったのか何度も舞台に登場し、挨拶をしてくれた。

あまりに長いのでスタッフに止められている程。

 

このパワフルさ、いや本当に凄い人はいるものだ。

まだまだこれから、と思ってしまいそうになる。

ハンク・ジョーンズの90歳での素晴らしい演奏なども聴けたけれど、彼のはパワフル、というよりは洒脱な演奏だったので大分趣が違う。

こんな素晴らしいものを無料で堪能させていただけるなど、有難い限りだ。

また来年も是非来てみたい。店の営業がなければ。

 

会場脇で鈴木勲のDVDも限定発売している、というので思わず買ってしまった。明らかに自主制作のようだったし、他では入手できないような気もして。

そう言えば、それまだ聴いてなかった。

第15回 帰ってきたなぎら健壱のフォーク夜話


もう観てから大分経ってしまったので、記憶している断片だけを記しておく。

 

9月18日(木)、江東区森下文化センターで初めて生なぎら健壱を観た。

自由席だったので、会場20分前位に到着したら既に結構な行列。

どうなるかと思ったら、センター前から1/3位、という思いの外良い席が空いていた。

 

時間になり、ギターを提げたなぎらと相棒と思われるギタリストのおじさん二人が登場してきた。

内容としては、子供の頃一時住んでいたという深川の思い出や、より思い出深いらしい銀座の話などを一くさりしてから自分の曲を弾き語る、という形式。

思っていたよりも曲の割合が多かった。この手のバリバリフォークには あまり興味は無かったので、勝手な願望からいえばもっとトーク部分を長くしてもらいたかったところ。

まあ、本質的にこれは「フォーク夜話」であり「トーク&ライブ」なのだから仕方の無いところなのだ。そちらのファンも結構いるのだろうし。

 

驚いたのは、歌となるとそれまでのちょっとだみった声がとても澄んだ、ちょっとと高目の声質へと変わり、しかもかなり巧いものだったこと。

実際、これまでTVで見ることは数あれど、歌を聴いたことは無かったので知る由も無かったのだ。

やはり流石プロとしてやっているだけのことはあるものだ、と、考えようによってはあまりに失礼な感想を抱いたりしながら拝聴していた。

 

自分でもはまった深夜ラジオ、特に「パック・イン・ミュージック」(TBSラジオ)の話など、懐かしいネタもいろいろとあったけれど、ほとんど忘れた。

彼がデビューしていくまでの話などもされていたように思う。そこでも「意外に」若い時から歌を評価されていたらしいことを知ることになったりした。

 

トークは予想通りなかなかに楽しく、歌の方も結構快適なものだったのでこれはお得ものだったな(因みに料金は前売りで3,000円)、と思っているうち、ゲストとして予告されていた小室等が呼び出された。

 

たまげた。

そして痺れた。

 

それまで(不覚にも)ちょっと感動していたなぎらの歌など全く霞んだ、というより地平の彼方に吹っ飛ばされてしまった。

とにかくその歌声、冒頭のワンフレーズだけでもうこちらの心をがっしりと捉え、奪い去ってしまう。

聞き惚れる、とはまさにこのことだ。

曲自体はこちらもフォークだし特に好き、というものではないのだけれど、その声だけで充分に聴かせてしまうし、何時までも聴き続けていたくなる。

これが才能、天賦の才というものなのだろう。

小室さんの方はトークがそれ程得意なわけでも無いようなので曲メインだったものの、あくまでもゲストなので、それ程長い時間では無かった。それでも、このコンサートに来られて良かった、と思えるだけのものはあった。

 

一度ゲスト退場の後、最後には当然ながらなぎらと小室のデュエットに。

しかし、こうなってしまうと完全にゲストに持っていかれてしまっていた。

 

こちらとしては儲けものだったけれど、ゲスト選びは気をつけないと、ということでもありそうだ。

 

このライブ、場内での飲食が自由で、入口でもビールやスナック菓子などを販売していた。この手のイベントではなかなか珍しいけれど、それもまた楽しい。

そうしたゆるさも今回の魅力であったと言える。

 

いやいや、何ごとも経験、体験してみないと判らないことも山程あるものだ。