2019年6月26日~8月18日開催
2019.7.11拝観
やはりテーマが地味なためか、来館者はかなり少な目。まだまだ会期が早いうちなのもあるだろうし、こちらはのんびりと鑑賞出来て良いけれど。
「遊戯」に関わるもの、ということでさまざまなシチュエーションを描いた風俗図が中心。
絵画がほとんどなので個人的には嬉しいところだし、大作の屏風が多く個々の作品としては見応えがある。まあ、既に何回か観ているものが多いとは言え。年代も桃山~江戸初期が大半を占める。
しかし、全体としては何だかあまり統一感を感じられず、散漫な印象を受けた。
本来的にそれぞれの作品によって主題が異なるため、「遊び」という明確なイメージを持ち辛い視点だけでは繋がりを意識するのが難しいからだ。
それでも、繰り返し描かれている輪踊りの描写には興味を惹かれた。
男女が何十人も連なり輪を成して踊るその姿、そこではほとんどの人が俯き顔を描かれることもない。
一つ二つなら偶々、ということもあろうけれど、ほとんどが同じように描かれているので明らかに意識的なものだ。
皆が意気消沈しながら踊っている、ということもあるまいし、常識的には晴れやかに顔を上げ笑顔で踊っていて良さそうなもの。
何らかの演出上の意図があることは明白であり、それが何なのか、とても気になって仕方がない。
例えば俯きつつ目をつぶりながら踊って、丁度曲が終わった時点で向かいにいる相手とカップルにならなければならない、というゲームにでもなっていたとか。
「遊び」を考えるのであれば、こういったところまで追究して欲しかった。
今回の目玉である「松浦屏風」は後半のみの展示のため観られず。
でもこの作品、既に3回遭遇しているので問題はない。
むしろ、これまで未見であった徳川美術館所蔵の「相応寺屏風」と「本多平八郎姿絵屏風」をまとめて拝見出来たのは何とも有難かった。こういったケースでは大抵この2点を前後期に振り分けたりしてしまうものなので。
絵画作品の重要文化財はもうかなりの割合観ているとは言え、このようになかなか出会えないものはまだまだ山程あるので、こうして少しでも潰していけるのは嬉しい限りだ。
「相応寺屏風」は八曲一双と通常よりも一層大型のため描かれている情景も多く、それぞれも伸び伸びと描かれていて見事。重文になるのも当然と言える。
「本多平八郎姿絵屏風」の方はかなり異色。
無背景でかなり大きく描かれた数人の女性が描かれた右隻と、男性一人と手紙を手渡そうとする禿だけが存在している左隻。
情景や風俗を描く、というより物語を感じさせる画面構成となっている。
ここで絵師は明らかに何かしらのドラマをイメージしながら描いたに違いない。
また、こちらは通常ではあり得ない大きさ・形の一枚絵二つによる二曲一隻屏風。
どういった意図・用途で作られたのか、元々屏風絵として描かれたものなのか、といったところにも疑問を抱かされる。気になる作品だ。
また、「清水・住吉図蒔絵螺鈿西洋双六盤」は以前からサントリー美術館にあったものでは無く、バイブル「国宝・重要文化財大全」によれば東京の個人が所蔵していた作品。
近年入手したものと思われ、これが初見なのかどうかは記憶にない。
南蛮螺鈿蒔絵としても見事なものだ。
永青文庫所蔵の「三人将棋盤」などというのも三人将棋という遊戯の存在含め初めて知ったところで、何とも興味深い。
元投稿:2019年7月頃?