2020年1月11日~2月16日 開催
2020.1.15拝観
文化庁からの派遣によって海外に滞在し研鑽を積んだこれから期待の作家たちを紹介する「ドマーニ・明日」展。
今年はオリンピックと関連してか趣向を変え、既に活躍している作家たち(物故含む)が集められている。
実力のあるアーティストばかりなので、いつもよりは安心して観られるところがあった。
しかし、知らなくともキラリと光る輝きを発見できる、かもしれないという楽しみは失われてしまった。
事前にこれは観たかった、という特に好みの作家もおらずさっと観て終了かな、と思っていたら、良い意味で裏切られ、結構じっくりと、そして見返してまで堪能してしまった。
最初の部屋に展示されていた米田知子。
これまで名前は聞いていたけれど、先年の個展含め作品を観たことは無く、気にはなりつつも評価出来ないでいた。
今回こうして数点ながら観ることが出来、戦争をテーマとしたコンセプトは全く好きになれないながら、とても美しい写真だと思った。構図としてはごく普通に風景を写しているだけなのだけれど。
下から見上げた木の枝の姿のみをモノクロで描き続けている日高理恵子の作品はこれまで単品、もしくは小山登美夫ギャラリーで大小取り混ぜた形では観てきた。
その時もぼんやりとは覚えているので何となく気になる作家ではあったものの、とりわけ強い印象を残すものでは無かった。
それがここでは、四方全てに彼女の主要作と言えそうな巨大作品が配置され、作品群にぐるりと取り囲まれる形。
すると、まるで木々に囲まれているような、あるいは日高理恵子という森に迷い込んだかのような迷宮的幻惑に襲われてしまった。
辰野登恵子作品に囲まれた時のように近付いたり離れたりすることでまるで違う印象を受ける、といったところまでの奥深さは感じられなかったけれど、この空間、この世界からはどうにも立ち去り難かった。
作品の所蔵先を見ると日本全国に拡がっており、人気が高いようだ。
最後の展示作家、畠山直哉は以前タカ・イシイギャラリーで観た「Blast」シリーズなどで格好良い写真を撮る作家として注目してはいた。
今回の作品は震災現場に残る一本の木や木々たちにがっちりとフォーカスしたもの。
テーマとしては重いものを背負ってはいるのだけれど、とにかく純粋に美しい。
構図としても透明な空気感も実に好み。作品名(テーマ)を知らなければ欲しくて堪らなくなったかも。
やはり今後まとまった展示があるようならしっかりとフォローしていかねばなるまい。
他の作家、例えば宮永愛子作品などは力作だとは感じたけれど好みでは無いし、若林奮の「緑の森の一角獣座」に関わる騒動は、現在であればそこまで大胆に撤去出来たか微妙とは思うけれど、既に無いものなので実物を知らない人間としてはなかなかイメージし辛い。
結局、何人か惹かれる作家・作品に出会ったおかげで、思っていたよりも鑑賞に時間を要してしまったのは確か。少し早く着いたのとこの後の「ブダペスト」展に向けてしっかりと時間を確保していて良かった。
元投稿:2020年1月頃?