2022年4月29日~7月10日 開催
2022.6.15拝観
やっぱり最高。
欲しい作品ばっかりだ。
自分としては、カラー作品になってからの方がより好み。
絵画出身であるせいか、あるものをそのまま写し取ったはずなのに、色遣いが素晴らしい。
年齢を重ねたことによる円熟に拠るところも大きいだろうけれど。
鈴木理策という写真家さん、名前は聞いたことがあったけれど、作品を観るのはこれが初めて。
シンプルに風景や生き物を撮影するスタイルながら、削ぎ落とされた表現がなかなか気持ち良い。
欲しい、とまでは行かないけれど、家にあって眺めていたら、思わず見入ってしまったりいつも快適な気分をもたらしてくれるだろう、と思える作品は幾つもあった。
また、モネの「睡蓮」2点と彼の緑や花・水を撮影した作品を一つの部屋に集めた、という展示は、写真の方も大半が同じジヴェルニーの情景である、ということも相俟って、とても一体感が感じられた。
一つ一つはかなり限られた空間の断片的に描かれた作品なのに、それが幾つも重ね合わせられることによって、まるで自分が庭の中に迷い込んでしまったかのような幻覚に襲われてしまう。
一方、柴田作品はもう文句無し。
どの作品もまるで抽象絵画を見ているかのように見事な構図、線の配置。
しかも絵画と異なり、手が入っていない分、画面を断ち切る怜悧で無慈悲な線、自然(緑や水など)や人工物が形作る意味ありげでもあり観意味でもあるような不思議な図形がとてもシャープに観る者の眼に刺さってくる。
その温度の無さが何とも心地良い。
これは写真だからこそ到達できる世界だと感じる。
今回面白かったのは、農作業に関わるものなのだろう、棒状の人工物が一面にびっしりと並んでいる、という作品が二点あった。
何となく墓石を想像してしまってちょっと怖ろしくなる一方で、どことなくリズムを感じられて楽しくもなってくる。。
一面のビニールシートに押さえの石が並んでいる、という近い作風のものもあり、こうした「軍団」もしくは「整列」系の作品もとても惹かれる。
モネ以外の絵画とのコラボレーションは、まあ並んでもおかしくはないものの、それで新しい発見が得られる、という程刺激的でもなかった。
何だか似たものをグループにしてみました、という印象だ。
むしろ一見してまるで近そうでは無い物同士を対比させた方が、ずっと新鮮だったのではないだろうか。
会期も後半に入ってしまっていたので、思っていたより入場者がいた。
しかも、若い女性が多く目に付いた。むしろ高年齢者はあまり見られなかった。
柴田さんは若い人に人気なのだろうか。
とは言っても、全体にぽつぽつと見られる程度で、しかも写真作品はあまりじっくりと見入る人も少ないのでどんどんと流れていってしまうけれど。
2012年に国立新美術館で行われた辰野登恵子との二人展などに比べると、展示点数はかなり少なかった。
大型作品中心なので仕方のないところもあるだろうけれど。
それでも、傑作が数多くあり、どうにも名残惜しかった。
柴田さんの作品をまとめて観られる、というのは至福の時だ。