恐怖箱 怪玩

 予約投稿に挑戦したものの、何度トライしても失敗してしまうので、直接投稿することにする。

 今回はおもちゃをキーワードとした作品集。
 「社畜」程ではないにしろ、玩具を登場させることがほぼ必須になってしまっているため、怪談の幅が結構狭く、似たような話が多かった。
 しかもこういう縛りを設けると好みの不条理ものや異世界(不思議界)ネタもほとんど封じられてしまうので、尚更個人的には面白くない。
 錚々たる面子、と言えなくもない(何とも曖昧な言い回し)作家陣の割に、印象に残る作品はちょっとしか無かった。

 「唄い独楽」これは独楽が凄いというより、そこから正確な占いを出来る祖父の方が不思議。
 なので、立て続けに三回の葬式が続いてしまうのは何とも不幸ながら、独楽のせい、というわけではなく、偶々続いてしまうことをこれまたきちんと当ててみせた、と考える方が妥当なのではないか。

 「黒球」まるで「ひぐらしのなく頃に」。怪奇譚ながら、民話のような趣も感じられる。
 何か歴史的な由来があって禁止されていた、というのではなく、実際に障りがあるからこその禁止だったとは。それが何なのかはまるで不明だけれど。およそ聞いたことのない妖怪とも付かない代物だ。毎度のことながら知ることは出来ないと判りつつ何故こんなことになっているのか出てくる怪異は何なのか知りたくて堪らない。
 それにしても、おそらくは日本中でここしかないような場所に、あろう事かタブーである凧が唯一の楽しみ、という語り手が遭遇してしまう。これもまた何とも不思議な巡り合わせだ。それ自体最早たまたまとは思えない。
 そして、この後、この村一体どうなったんだろうか。語り手は調べる気にもならないだろうけど、著者が調査してみてはどうなのだろう。

 「遊び相手」家に纏わる話ながら、よくある先祖からの因果が、というのではなく因縁が出来た当人の話を聞けた、というのが珍しい。
 ああちゃんが何故男を嫌うのか理由は不明だけれど、男性が確実に死んでしまう、というのは実に怖ろしい。
 床下の墓、というのはかなり小さいものだったのだろうか。また、これは祖母が新たに建てたものなのか、元々一抱えもある石、というのが墓石のことだったのかちょっと気になる。

 玩具といっても、やはり怪談となると人形やぬいぐるみ関連のものがほとんど、ということになり、それが現れたり消えたり動いたり、と同工異曲が多い為、いつも以上に印象が弱くなってしまった。
 実話怪談、という制約が既にあるわけだし、あまりテーマを決めてしまう、というのは良いことではないように感じる。

恐怖箱 怪玩posted with ヨメレバ加藤 一/雨宮 淳司 竹書房 2020年06月27日頃 楽天ブックスで見る楽天koboで見るAmazonで見るKindleで見るhontoで見る