どうあっても時間は足りない 大阪・吹田~奈良・橿原 2  関西大学博物館


大阪伊丹空港に到着し、今回は珍しくモノレールへ。空港からこれに乗るのは初めてじゃなかろうか。

 

今年1/20・21にはやはりマイルの期限が来てしまって、とりあえず東京→大阪便を予約してしまったものの、真冬の最中、行きたいところも見つからず普段どうしても設定し辛い空港周辺の文化財探訪の旅に出た。

空港から歩いてスタートし、豊中市、池田市、伊丹市、宝塚市辺りを巡ってみた(宿泊は何故か大阪市内)。

今回はそれに引き続いての第二弾となる。

 

山田駅で阪急千里線、というのに乗り換える。

確か二両編成の見事なローカル線。乗るのは勿論初めてだ。

3駅程乗るともう吹田市、関大前駅に着く。

その名の通り、関西大学キャンパスの最寄り駅、ということになる。

しかし、そのわりには何とも鄙びた駅前の風情であった。

線路沿いの細い路地をしばらく行くと、少し道が広くなり、賑やかにもなってきた。ちょっと安心した。

ただ、何だかチェーン店の多いところではあった。

 

やがて右に折れてしばらく行くと関西大学に到着。

なかなか気持ちの良い校内を案内板に従って進むと、比較的奥の方に目指す博物館はあった。

もう一つ、簡文館という登録文化財の建物も探していたのだけれど、行ってみたら同じ建物のことだった。

効率が良くて助かる。

 

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外観は円形。茶色いタイルが貼ってあり、何とも瀟洒な印象がある。

周りの探索をしているうちに、取り付けられている車寄の解説から、これが村野藤吾の建築であると判明した。1955(昭和30年)に竣工らしい。

村野藤吾建築には、これまで日本橋高島屋(の増築部分)、京都都ホテル、宇部市渡辺翁記念館などで接しており、モダン様式でありながらどこか優美で繊細さを感じさせてくれるし、何より和の美というものがさりげなく取り込まれているように思われ、とても好きな建築家であった。

そんな彼の建築にこのように予備知識も無くいきなり遭遇できようとは思ってもいなかったので驚いた。

彼の建築では照明器具や階段の手摺など小物が特に見所。

このブログを書くために調べてみたら、関西大学には他にも村野建築があったらしい。これは失敗した。

 

入口の辺りで工事が行なわれており、まさかと不安になったものの、出入りは問題なかったので中へ。

すると、妙に暗い。

入ったところに立て札があり、博物館は夏期休暇中とある。

眩暈がした。

この地域の文化財探索のためわざわざここまで来て、その最初の関門でいきなり撥ねつけられてしまうとは。

学校の施設なので、日曜休み、というところまではチェックしていたのだけれど、まさかそんな罠があったなんて。

しかも既に9月も9日だというのにまだ夏休みだと。休み過ぎじゃ無いのか大学生。

などとさまざまな感情が渦巻くも、やっていないことには変わりが無い。

 

一旦諦めかけた、その瞬間にキラリと閃いた。

入口から閉鎖されていたのならもうどうしようも無いところだろうけれど、中に入れた、ということは人はいそうだ。

元々この施設は無料観覧のところでもあるし、とりあえず事務室に行って訴えてみよう、と。勿論おそらく無駄足に終わるだろう、とは思いながら。

 

案内板に従って奥の方にそろそろと忍び込むように進んでいき、事務室に着く。

意を決して中に飛び込み、開口一番「博物館はお休みなんですね」と聞いてみた。当然夏休みなので、という回答が返ってくるので、精一杯悲しそうな声と表情で、そうですか、と落胆を露わにした。

勿論これは演技などでは無く心からの嘆きでもあったので訴求力も高かったのだろう、どちらからいらしたのですか、という問いに繋がった。

すかさず、東京からなんです、とそう何時でも来られるところでは無い、という思いを滲ませながら答えた。

すると、今は展示替えで一部の作品は無いのですけれど、それで良ければ開けましょうか、と。

 勿論一も二も無くお願いする。いや、お手数をかけてしまうことになるので、本当に悪くないのか確認はした上で。

こちらから開けてくれ、とお願いできる立場でも状況でも全く無いので、もう本当に蜘蛛の糸並みのわずかな期待から、ここまで来てみて本当に良かった。

展示上げ、という作品に重文ものが含まれていないか心配だったけれど、ともあれ展示室へ。

道中の内装も気になる。螺旋階段など優美なもので、本当ならここだけでもゆっくり鑑賞したいところ。緊張と焦りからそんなゆとりはほとんど無かった。

展示室は広く、さまざまなものが展示されていた。

照明だけで無く空調までつけていただき恐縮する。しかしこの日はかなり暑かった上に一連のやりとりでいらぬ汗まで相当にかいていたので、実に救われた。古い建物なので空調は後から入れられており、その吹き出し口が展示品の横などにあって、そこに佇んで全身で涼を取ったりした。

 

重要文化財に指定されているのは「国府遺跡出土品」と「石枕」の2点。心配をよそに、どちらも無事しっかりと展示されていた。

他にも県指定文化財のものや、最近登録が始まった美術工芸品の登録文化財ものなどもあって、結構見応えがあり、思いの外観るのに時間がかかった。

 

勿論その場でも御礼は申し上げたけれど、事務職員の方の御厚意には、もう本当に感謝しか無い。

特別展などもあるのでまたいらして下さい、などと更に優しい言葉をかけていただき、建物鑑賞も含めてまた来てみたい、という気持ちにさせられた。次は奥さんと二人の方が良いかな。あちらはここの展示品には微塵も興味が無いだろうけど。

 

いつものように一軒目で早くも押し気味なスケジュールとなり、早足で駅へと戻って移動。